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ダーツの歴史

ダーツの起源

 ダーツの起源は、今から500年以上も昔のイギリスに遡ると言われています。薔薇戦争(1455~1485年)の戦場でイギリス軍兵士たちが、戦いの余暇として武器であった弓矢を使って特定の的を目がけて矢を射り、腕を競い合ったというのが有力な説です。

 その後、矢を短く切り、弓を使わずに素手で投げ合う競技へと変わり、的(ボード)には葡萄酒の樽を使ってゲームを楽しんだと伝えられています。やがてその的は、大木を厚く輪切りにしたものに変化し、適度に刻まれた年輪を活用することにより、採点方法と標的狙いのテクニックの面白さを見つけ出したようです。さらに、この的が使い込まれていくうちに自然乾燥し、表面に何本もの放射状の亀裂が入ることを利用して、採点はいっそう複雑化するようになりました。

ダーツの発展

 1896年、英国人ブライアン・ガムリン氏によって、的に点数区分をつける方法が考案されて、今のボードの原型ができ上がり、現在の競技ルールが確立。兵士たちの単なる遊びから、全ての人々が家族や友人と楽しみながら腕を競い合うようになり、屋内スポーツ、ファミリースポーツとして発展しました。

 20世紀初頭まではこのような木を輪切りにしたボードが使われていた。こうしたボードは手に入れやすい反面、水につけて矢が刺さりやすくしていたので使い込むにつれて木が傷み、不快な臭いが発生する問題があった。こうした臭いを抑えるため、1935年にイギリスのノドア社により、船舶用ロープに用いられるサイザル麻を圧縮して作られたブリッスルボードが発明された。このブリッスルボードの発明により、得点システムと、簡便なダーツボードが揃うことになる。

 こうして発生・発展してきたダーツ競技は、イギリス人中に広く深く普及していき、第一次世界大戦後には数多くのクラブやチ ームが結成され、1924年にはLiccnsed Victallers AssociationがNational Darts  Association(N.D.A)を設立しました。

 そして戦後、ダーツは手軽な娯楽として人気を高め、戦後10年はプロおよびセミプロの到来となり、1970年代後半においては、国際スポーツとなりました。

ソフトダーツの台頭

メダリストダーツボード

 1980年代になって、アメリカのメダリスト社がエレクトリックダーツと呼ばれる自動計算機能を持ち、ビットと呼ばれる矢が刺さる穴があけられたプラスチック製のダーツボードを開発した。このダーツボードではそれまでの金属製ポイント(針)と違い、プラスチック製のポイントを使うことができるようになり、それまでの金属製ポイントとブリッスルボードで行っていたダーツを大きく変えるものであった。

 これ以後、ダーツはソフトダーツとハードダーツに分かれていくことになる。日本では、歴史的に長らく愛好されてきたハードダーツは根強い人気があったが競技人口が少なかった。しかし、手軽で安全なソフトダーツが登場し、さらに21世紀になってICカードを用いて個人記録を残せたり、ネットワーク対戦機能を有する機種も登場したことにより、ソフトダーツが広く普及した。

 競技人口が増え、大会なども頻繁に行われ、ソフトダーツのプロトーナメントも登場し、ついにはハードダーツにも注目が集まるようになってきたのである。現在、ソフトダーツからダーツを始め、ハードダーツとソフトダーツの両方嗜むプレイヤーも増えてきており、日本でのハードダーツの大会も増え始めた。

 また、ハードダーツの最高峰であるPDCが主催する世界大会、PDC World Darts Championshipへの日本代表を決めるPDC Challenge Tournamentにおいても、ソフトダーツのトッププレイヤーやソフトダーツ出身者が優勝者を含めて決勝トーナメントを占めるなど、ソフトダーツの選手がハードダーツの大会で上位を占めてしまう例も珍しくなくなってきている。

ハードダーツとソフトダーツの違い

 ハードダーツとソフトダーツの最大の違いはもちろん、ポイント(針)部分が金属製かプラスチック製かという違いである。他の違いとしてはボードサイズがハードダーツの英国公式サイズでは13.2インチ(33.528センチ)であるのに対して、ソフトダーツでは15.5インチ(39.37センチ)であることが挙げられる。

ボードの比較

 このほか、スローラインと呼ばれる、矢を投げる為に足が越えてはならないラインから的までの距離がハードダーツは237センチであるのに対してソフトダーツは244センチであるという違いや、一部のゲームにおいてルールが微妙に変わったり、エレクトリックダーツの計算能力に依存しているため、ハードダーツでは行われないゲームがあるなどの違いがある。